皆様、こんにちは。
弁護士の東海林智恵です。
このメルマガでは、身近な法律相談を取り上げようと思い、
前回は、賃貸借契約に関する記事を書かせていただきました。
今回は、賃貸借契約同様、身近に起き得る問題の一つである
「相続」についてお話したいと思います。
相続と言っても、事案毎に様々な問題が含まれていますが、
今回取り上げるのは、「相続放棄」です。
相続は、被相続人の死亡によって開始します(民法882条)。
一般的には、相続というと、プラスの資産を相続するイメージが強いと思います。
しかし、なかには、負債のほうが大きいという事案もあります。
そういったとき、重要になるのが「相続放棄」の手続きです。
民法915条1項によれば、「相続人は、自己のために相続の
開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、
単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」とされています。
日常から財産・負債関係を把握している相続人であれば別として、
疎遠になっている関係の場合、三箇月というこの期間は、あっという間です。
この三箇月の間に、相続人となった者は、被相続人の財産状況を調査し、
負債のほうが多いと判断した場合、裁判所で相続放棄手続きをとることになります。
借金がある被相続人の場合、住居に残された金融機関からの葉書等から
手懸かりを得ることが多く、そこから、金融機関に詳細を照会する等の
時間が必要になりますから、あっという間の三箇月です。
三箇月では間に合わず、裁判所に申し立て、期間を伸長してもらう
ケースも珍しくありません。
過去の御相談者の方にも、この三箇月の期間を過ぎてしまっていた方がおられました。
場合によっては、相続人の将来設計が狂ってしまう事態も考えられますから、
気をつけたい問題ですね。